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01.25
Sun
醍醐天皇の臣下が従臣を伴い竹生島詣でをします。琵琶湖畔に着くと沖の方から若い女を乗せた老人の釣り船が近づいてきます。一行が便船を頼むと、老人は、これは釣り船だといいながらも断ることは神の御心に背く事だと船に乗せます。湖上から眺める山々の花は雪のように美しい。やがて竹生島に着き、一行は弁財天にお参りします。釣り船の女もお参りしているので,ここは女人禁制と聞いていると訝ると老人は、それは知らない人の云う事で弁財天は九生如来の再誕なのだから、むしろ女性こそお参りしなければならないといいます。やがて女と老人は、私達は実は人間ではないと云い残し、女は社殿の中え、老人は湖の水中に入ります。やがて夜になり、社殿が鳴動し月の出のように美しく、弁財天が現れます。空から音楽が聞こえ、花が降り、弁財天は袂をひるがえして舞を舞います。
やがて舞楽の時も移り、月の照りわたる湖上に竜神が現れ、廷臣に金銀珠玉を捧げ、竜神の勢いを見せる舞を舞い、天女は宮中に、竜神は湖底の竜宮に帰って行きます。

この曲はご当地ソングだと聞いたことがあります。言い得て妙、ご当地ソング一級品だと思います。かつては教養として子弟に、謡、仕舞を習わせました。この曲は初心の頃習うポピュラーな曲です。この曲を謡って竹生島に憧れた人は多いと思います。竹生島は琵琶湖に浮かぶ島、信仰の島です。神社と弁財天を祀る寺があります。霊地であって人は住んでいません。神主以下、ここで働く人は船で通います。
 この曲は初番目物、脇能物(能、「翁」に付随して演ぜられる曲)ですが他の初番目の曲とは趣がおおいに違います。初番目物は天下太平、五穀豊穣を言祝ぐ能です。「竹生島」には祝言の文言が少ない。前シテの面は類曲では神格を表す小尉ですが「竹生島」では「三光尉」、庶民の爺さんです。ご当地ソングというのもうなずけます。
前シテは漁翁、小舟の前に若い女を乗せて登場します。女は唐織、着流しに釣り竿を担ぐ不思議な出で立ちですが違和感が無いのも又不思議です。船は春真っ盛りの湖面を行きます。この美しい光景を「緑樹、影沈んで魚、木に上る気色あり。月、海上の浮かんでは兎も波を走るか」と謡います。(山々の木の影が水面に映ると泳いでいる魚が木に登っているように見え、月が水面に映ると月の兎が湖面の波の上を走っているようだ)
後場では若い女は天女に変身して華麗な天女の舞を見せ、漁翁は龍神となって豪快に舞います。
春爛漫の琵琶湖の湖上に繰り広げる一大ページェント。能に不案内の人でも分かり易く楽しい能です。

小書(特殊演出)に「女体」があります。主役のシテの龍神とツレ天女が入れ替わります。前シテ漁翁、後シテ龍神がツレに前ツレの女、後ツレの天女がシテになります。装束もそれぞれ替わり天女は「楽」を舞い、終曲、キリは主に龍神が舞い納めます。
この小書は金剛家ツレ方長命家に伝わった小書といわれています。

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