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01.14
Tue
※あらすじ 
□九州松浦の某は召し使っていた関清次が他郷の者と口論、
これを殺害してしまったので牢に入れていました。
大剛の者であった清治は牢を破り逃亡してしまいます。
松浦は妻を呼び清治の居場所を糺すが妻は自白しません。
松浦は清治の居場所がわかるまでと身代わりに清治の妻を入牢させ
牢に鼓を掛け一時(ひととき)毎に鼓を打たせ見張りをきびしくします。
清治の妻は、入牢の苦しさと夫への思慕から次第に狂気になっていきます。
松浦は女の夫を想うやさしさに心を打たれ牢から出そうとします。
女は夫の身替わりとして籠もったこの牢こそ夫の形見よと出ようとしません。
牢に掛けてある鼓を見て故事に思いを寄せ、いよいよ狂気を募らせ
皷を打ち鳴らし舞い狂います。
松浦はこの有様を見て哀れに思い、夫婦ともに赦します。
女は狂気から醒め夫の居場所を明かし、夫を尋ね帰り故郷松浦で
二世の縁を結びます。

※物語の推移を追って
□まず後見が作り物を運び込みます。牢です。
次いで間(アイ)の従者をしたがえてワキ、松浦の某(ナニガシ)が登場します。
ワキの厳めしい出立ちは身分のある大名であることを示しています。
ワキに命じられてアイが牢に鼓をかけます。
シテは常にこの牢と鼓に気を掛け演じます。

□アイに呼び出されてシテ、関清次の妻が登場します。
夫の不始末にうち萎れています。色無し(赤い色のない)の唐織りは既婚を意味します。
牢に入ったシテは、夫への思慕を口説きます。
これを聞いたアイは、ワキ松浦に女が狂気したと報告します。

□ワキは女を許すといい、牢の戸を開けます。
シテは唐織りの右肩を脱ぎます。狂気を意味します。牢を出てシテは夫への
思慕を表すイロヘを舞い、止めに皷を二つ打ち、夫への想を述べます。
いよいよ狂気を募らせたシテは更に鼓を打ち、舞い狂います。
狂い終えたシテは再び牢に入り自ら扉をピシャリと閉め
「この牢出する事あらじ」と決意を示します。

□ワキは、諏訪八幡に誓って夫婦共に許すといいます。
やがて女は夫をたずね探して故郷へ帰り幾久しく二世の契りを結んだと、とめます。
シテは幕の方を向き、拍子を二つ踏みます。
能が終わった事を示します。

※その外いろいろ
□この能は世阿弥の作といいます。世阿弥の残した芸論の中の「三道」に
能にふさわしい素材は、歌や舞、風雅の道にたずさわる名高い人がよい、というような
意味のことが記されているそうです。
能の主人公には多くそれなりの人が登場しますが、この能のように
名もない市井の人が登場する作品も少なくありません。

□この能は前、後場のない「単式能」で、又物語が現在進行形の「現在能」です。
詞章も平易で分かり易く、だれるところのない、よくまとまった能です。
小品だからこその強みでしょうか。
「我が身の助かり候うをこそ喜ぶ」という身勝手な乱暴者の夫を慕う女の
純愛に焦点を紋っています。

□この能で舞われる「舞」は「イロヘ」といいます。
心を内に籠める所作でしょう。
「彩色」とも書き、曲により意味合いに多少の相違があります。
単なる「いろどり」の場合もあるようです。「カケリ」を舞う場合もあり
この時は狂乱を意味し、狂乱の詞章があります。
□この能の小道具「皷」は他の能にもしばしば登場します。
「皷」をめぐって殺されたり身を投げたり、故人を思ったりという具合です。
昔の人は皷は単に音楽や時刻を知らせる道具ではなく、何か特別な想いが
あったのかもしれません。
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